世の理|意味、道理、理由、英語、英和・和英、イディオム
世の理。「よのことわり」と読みます。うちの工場には、ちょっと変わったお客様がいらっしゃいます。その方は二言目には「紹介料を♡」という方です。そんなお客様に対して、うちの社長が珍しく怒っておられました。その時に社長がおっしゃったことが、私的には結構「深い」と思ったので、ご紹介しますね。
「お客さん連れてくっから紹介料けさいだどや、いい年こいでろくてねごだー、だれ、軒下借りて商売すんなら、ショバ代払うのが本当だっちゃー、ごしゃがねで帰したけどな、次はねえわな」
社長、珍しくおかんむりでしたね。#はぴもよ
— はっぴ (@suzuharu49) 2019年10月12日
世の理 意味
「どうもー、何かいいクルマないっすか?」そう言って現れたのは、Yさんです。Yさんは40代の独身男性。悪い人ではないのですが、職を転々としているため、いつもカツカツで、ピーピーな方です。
当然お車にもあまりお金をかけられないため、壊れては直し、中古部品を手配してきては取り換え、いよいよダメになったら安い中古車に買い替える、そんな感じでお車を乗り継いでこられた方です。
新車も買えず、ローンも組めない方なので、車検の度に「自社ローン」(という形のツケ)を利用されている方でした(ちなみに社長の整備工場の自社ローンは、毎月1万円固定の金利手数料ゼロです)。
世の理 道理
いつもニコニコと笑顔で訪れるYさんですが、本日は特にゴキゲンのご様子でした。
Yさん「社長、知り合いで車を売りたいっていう人がいるんすよ」
社長「ほーっ、んだが」
Yさん「古いBMWなんですけどね、社長のとこで買取ってやってます?」
社長「まーやってやれねぇことはねぇけどな。すぐには売れねぇべな」
Yさん「そうですか・・・ちなみに紹介料ってもらえるんですか?」
社長「あぁ?」
横で聞いていた私も思わず「えっ?」と思ってしまいました。いきなり「紹介料」の話を出す人なんて、今まで見たことがなかったからです。社長も呆れた様子でYさんを見ていました。
世の理 英語
世の理。英語で言えば・・・うーん・・・「God’s rules.」でしょうか?適切な英語が思い浮かびませんでした。
Yさんが帰られた後、社長は珍しく不機嫌なご様子でした。
「お客さん連れてくっから紹介料けさいだどや、いい年こいでろくてねごだー、だれ、軒下借りて商売すんなら、ショバ代払うのが本当だっちゃー、ごしゃがねで帰したけどな、次はねえわな」
社長、珍しくおかんむりでしたね。#はぴもよ
— はっぴ (@suzuharu49) 2019年10月12日
社長がその理由を私に話してくれました。
世の理 自然
「商売っつーのはな、まず『儲けてけさい』なんだど。」
「まず相手に儲けてもらって、次にうちが儲けさせてもらうんだ。この順番って結構大事だど。」
「この工場(こうば)だってな、設備を整えて、認証工場っつー資格を取って、オレも整備士の資格を取って、若けしたずにも資格取らせて、そうやって運営してんだど。」
「設備や資格だげでねくてや、何1000台と整備して経験を積んできたがら、すぐに治せんだど。」
「そごさいぎなりやってきてや『お客さん紹介しまーす、紹介料くださーい』ってなんねべや。」
「人の軒下借りて商売してえなら、まずウチば儲けさせろっつーごどだべや」
私は頷きながらそのお言葉を聞いていました。
確かに社長のおっしゃる通りです。Yさんはお客さんで、悪い人ではないのですが、ビジネスパートナーにはなり得ないでしょう。その理由は「世の理」が分かっていないからなのです。
私もそれほどYさんの事を知っているわけではありませんが、この方に「信用」がないことも、安定した職業に就けない理由も、何となく分かりました。
そしてYさんとのやり取りを通じて「商売をする」という事の意味も教えてもらったような気がしました。